一条工務店の年収と福利厚生制度

 一条工務店営業職の年収形態

・新卒1年目 年収350万円
・新卒2年目 年収400万円

一条工務店の社員は入社2年目に給与形態を最低限保障コースと業績評価コースから選択する。業績評価コースを選んだ場合は、そこから先は契約成績に応じて大きく変わるので、同じ30歳の社員であっても、その年収差は数百万に及ぶ。

・年0棟 年収400万円以下
・年5棟 年収500万円
・年6棟 年収600万円
・年8棟 年収800万円

業績連動の目安としては、35歳以下は受注棟数×90万円、36歳以上は受注棟数×100万円。売り上げ金額ではなく、契約頭数がベース。年間12棟の契約を上げておけば、一般社員でも年収1000万円も夢ではない。昇給に関しては勤続年数の関係はなく、成績次第。役職により5,000円、30,000円、60,000円の手当が出る。年間6棟の契約があれば誰でも500~650万円の年収になるので、インセンティブは他社の住宅メーカーと比べても良い。

給与制度の特徴

営業については基本給の定期昇給が無い完全歩合制なので、支店長でも家が売れなければ低い給料。逆を言えば売れる人は新人でもかなり稼ぐことができる。トップセールスマンは年収1000万円を超える。しかし、それはごく一部で、ほとんどの社員は低い基本給に苦しんでいる。一棟も売れない月は手取りが10万円代になることも。注文住宅という商材は年に何棟も売れるようなものではないし、営業に使う車の維持費などを考えると生活は楽ではない。離職率が高いのは、会社からクビを宣告されるのではなく、食べていけないほど困窮するから。逆にコンスタントに営業で稼ぎながら定年まで勤め上げることができれば、生涯賃金は勝ち組になるだろう。

賞与制度

半年ごとに賞与があり、受注金額ではなく何棟契約したかによって決まるポイント制になっている。契約と着工許可のタイミングでポイントがつき、給与グラフになぞらえて支給される。年間4棟以下の場合、ボーナスが0円になるだけではなく、ペナルティとして毎月2万円の給料カット。時々、予告なしに行われるお小遣いキャンペーンと呼ばれる特別ボーナス制度があり、月の給料とは別に2.5万円~10万円/1棟が支給される。

一条工務店の年収と福利厚生制度


手当と福利厚生

基本給以外の手当としては、営業手当、車両手当、結婚手当、赴任手当、家賃補助、扶養手当、ガソリン代(上限35,000円)がある。高速代カード貸与。営業であれば住宅営業の成績に応じて支給される成約手当がある。既婚者で36歳以上になると家族手当・子供手当が4万円ほどUPする。住宅メーカーならではの持ち家制度有り。資格については一時金で支給されたり、e-learning、資格学校との提携などバックアップ体制はそれなりに整っている。新卒であれば社員寮など福利厚生はそれなりに充実しているが、中途入社の方は基本的には福利厚生は一切ないため、格差が激しくそれが理由で辞める者が後を絶たない。また、首都圏手当のようなものは特に無く、物価の高い首都圏では売らなければ生活苦にすぐに陥る。

一条工務店の組織と社風


トップダウンの非上場企業

元々は親族経営ということもあり、オーナー企業やワンマンと言ったトップダウンの気質が残る。創設メンバーが現在も在籍している。ピラミッド型の体制ではなく、経営陣をトップとしてその他多数の逆T字型の組織。現場トップのマネージャーにも大きな権限はなく、何かをお願いするときは本部に直接お伺いを立てる。各支部に運営を一任している面もあり、支部ごとの労働環境が大きく異なっている特徴がある。本社の近い静岡、愛知、三重などはプロパー社員が多く士気も高い。その他の地域には中途社員が多く、まとまりがない。株式非上場であり社外はもちろん社内において会社のお金の使い道がまったく公表されておらず、どこにどのような力を入れているのかが不明。また、労働組合がないため営業の労働時間はエンドレス。勤務時間が長いことが美徳とされている風土がある。企業理念は「一条工務店で建てて良かった」「一条工務店と取引してよかった」「一条工務店で働いてよかった」だが、後半2つは実際に感じている業者(職人)、社員はごくまれであると予想される。少なくとも自分の周囲にはほとんどいない。


営業重視の組織

顧客満足主義を掲げた営業を非常に重視しており、毎年採用される新卒では400人ほど採用されるが、そのうち300人が営業に配属される。他社では下請けやほかの職種に回す業務も営業がこなすのが特徴で、展示場の事務作業、土地の管理や草抜き、地盤調査、自社ローンの扱いなど、ほぼ全ての事務雑務等作業は営業が行う。体力的にきつい面がある。お客様と最初から最後まで向き合う事が出来るが、営業社員への扱いは酷い。自社生産、無借金経営の為、値引きもしないが経費も極力かけない社風がある。なお、契約を沢山取れば、それだけで昇進できるので、人としてのレベルの低い役職者が多い。営業組織は営業所に店長が一人いてその営業所を仕切るものの、個人成績が全てなので、ほとんど個人事業主の集まりのようなもの。何か問題があった場合はアドバイスはもらえるが基本的には個人で解決する。


中途採用者の扱い

営業は新卒社員の離職者が多いため、中途採用者が非常に多い。とは言え、中途入社の社員はプロパー社員以上に使い捨ての感覚。中途は半年で1棟がノルマでその後も半年に2棟がノルマとなる。ほとんどの社員が未達かノルマギリギリというのが実態であり、募集要項記載の年収例をもらえている社員は全体の2割程度。実績を出さないと契約社員のままで、最悪の場合は契約更新をしてもらえない。15年勤務の中途社員が売れなくなった瞬間にクビに近い待遇面になり辞めていったこともある。3年で8割が消える会社であるという認識が必要。新卒社員は営業としてうまく行かなければ工事監督などの道も用意されているが、キャリア採用者には、転職の道しかない。


転勤と異動

入社してから10年以上同じ営業所に在籍している社員もいれば、1年ごとに転々としている社員もいる。営業は成績を残していれば基本的に転勤は少ない。ただし、営業所内での席替えは頻繁に行われる。また、成績順に営業活動の拠点とする展示場を選択できるため、売れない営業マンは客足の少ない展示場で営業活動をせざるを得ず、ずっと売れないままになる傾向がある。内勤職(設計・工事監督など)は公的資格が取れないと、仕事ができても異動させられる。

勤務地

勤務地は、いわゆる事務所や自社ビルのようなものは少なく、基本的には展示場に勤める形になる。展示場内の事務所には営業6〜8人が在籍。前月の成績順で翌月の接客順番が決まり、来場も多くないので成績優秀な方が多く接客でき成績も上がる。売れないと営業手当2万円の減額や、ボーナスが出ない仕組み。営業所には責任者(営業所長)はいるが、プレイングマネージャーのために対等な立場に近い感じ。


営業所ごとの風土

本社や内勤(設計、工事課)などは社員の意識が高いものの、現場である住宅展示場の営業は、地域差が非常に大きい。所属する営業所や展示場によって風土は全く異なり新卒採用の営業マンの比率が多いところに配属されれば、研修や勉強会が頻繁に開催されるが、中途採用の営業マンの多い地域だと、勉強会などはそこまで行われず、成長しにくい環境にあるといえる。昔ながらの体育会系の色が濃い地域もあり、配属先の先輩営業マンに恵まれるかどうかで全てが決まると言っても過言ではない。厳しいマネージャーのもとにつけば徹底した数字管理で毎月コミットを全体会議で発表させられ、達成するまで詰められる。給与体系は出来高制だが、どれだけ売れるかは実力だけではなく、地域性によるところも大きく、土地代が高く戸建て住宅の販売が難しい場所(首都圏など)では非常に苦戦することとなる。