■ トップダウンの非上場企業
元々は親族経営ということもあり、オーナー企業やワンマンと言ったトップダウンの気質が残る。創設メンバーが現在も在籍している。ピラミッド型の体制ではなく、経営陣をトップとしてその他多数の逆T字型の組織。現場トップのマネージャーにも大きな権限はなく、何かをお願いするときは本部に直接お伺いを立てる。各支部に運営を一任している面もあり、支部ごとの労働環境が大きく異なっている特徴がある。本社の近い静岡、愛知、三重などはプロパー社員が多く士気も高い。その他の地域には中途社員が多く、まとまりがない。株式非上場であり社外はもちろん社内において会社のお金の使い道がまったく公表されておらず、どこにどのような力を入れているのかが不明。また、労働組合がないため営業の労働時間はエンドレス。勤務時間が長いことが美徳とされている風土がある。企業理念は「一条工務店で建てて良かった」「一条工務店と取引してよかった」「一条工務店で働いてよかった」だが、後半2つは実際に感じている業者(職人)、社員はごくまれであると予想される。少なくとも自分の周囲にはほとんどいない。
■ 営業重視の組織
顧客満足主義を掲げた営業を非常に重視しており、毎年採用される新卒では400人ほど採用されるが、そのうち300人が営業に配属される。他社では下請けやほかの職種に回す業務も営業がこなすのが特徴で、展示場の事務作業、土地の管理や草抜き、地盤調査、自社ローンの扱いなど、ほぼ全ての事務雑務等作業は営業が行う。体力的にきつい面がある。お客様と最初から最後まで向き合う事が出来るが、営業社員への扱いは酷い。自社生産、無借金経営の為、値引きもしないが経費も極力かけない社風がある。なお、契約を沢山取れば、それだけで昇進できるので、人としてのレベルの低い役職者が多い。営業組織は営業所に店長が一人いてその営業所を仕切るものの、個人成績が全てなので、ほとんど個人事業主の集まりのようなもの。何か問題があった場合はアドバイスはもらえるが基本的には個人で解決する。
■ 中途採用者の扱い
営業は新卒社員の離職者が多いため、中途採用者が非常に多い。とは言え、中途入社の社員はプロパー社員以上に使い捨ての感覚。中途は半年で1棟がノルマでその後も半年に2棟がノルマとなる。ほとんどの社員が未達かノルマギリギリというのが実態であり、募集要項記載の年収例をもらえている社員は全体の2割程度。実績を出さないと契約社員のままで、最悪の場合は契約更新をしてもらえない。15年勤務の中途社員が売れなくなった瞬間にクビに近い待遇面になり辞めていったこともある。3年で8割が消える会社であるという認識が必要。新卒社員は営業としてうまく行かなければ工事監督などの道も用意されているが、キャリア採用者には、転職の道しかない。
■ 転勤と異動
入社してから10年以上同じ営業所に在籍している社員もいれば、1年ごとに転々としている社員もいる。営業は成績を残していれば基本的に転勤は少ない。ただし、営業所内での席替えは頻繁に行われる。また、成績順に営業活動の拠点とする展示場を選択できるため、売れない営業マンは客足の少ない展示場で営業活動をせざるを得ず、ずっと売れないままになる傾向がある。内勤職(設計・工事監督など)は公的資格が取れないと、仕事ができても異動させられる。
■ 勤務地
勤務地は、いわゆる事務所や自社ビルのようなものは少なく、基本的には展示場に勤める形になる。展示場内の事務所には営業6〜8人が在籍。前月の成績順で翌月の接客順番が決まり、来場も多くないので成績優秀な方が多く接客でき成績も上がる。売れないと営業手当2万円の減額や、ボーナスが出ない仕組み。営業所には責任者(営業所長)はいるが、プレイングマネージャーのために対等な立場に近い感じ。
■ 営業所ごとの風土
本社や内勤(設計、工事課)などは社員の意識が高いものの、現場である住宅展示場の営業は、地域差が非常に大きい。所属する営業所や展示場によって風土は全く異なり新卒採用の営業マンの比率が多いところに配属されれば、研修や勉強会が頻繁に開催されるが、中途採用の営業マンの多い地域だと、勉強会などはそこまで行われず、成長しにくい環境にあるといえる。昔ながらの体育会系の色が濃い地域もあり、配属先の先輩営業マンに恵まれるかどうかで全てが決まると言っても過言ではない。厳しいマネージャーのもとにつけば徹底した数字管理で毎月コミットを全体会議で発表させられ、達成するまで詰められる。給与体系は出来高制だが、どれだけ売れるかは実力だけではなく、地域性によるところも大きく、土地代が高く戸建て住宅の販売が難しい場所(首都圏など)では非常に苦戦することとなる。